今日は曇り時々雨。
はじめに
1976年~1978年頃、NHK総合TV(ナレーションはフランキー堺)で放送された「チャプリン小劇場」、そして、2023年3月頃には「TOKYO MX」で、「モダン・タイムス」「ライムライト」「街の灯」が放送されたようである。
チャップリンの映画は勿論、そのテーマ曲にも関心を寄せるだけの名曲ばかりである。それも、チャップリンがその多くを作曲しているのである。
今回、偉大な喜劇王「チャールズ・チャプリン」のトップクラスの作品映画から、テーマ曲3つを選び、映画の簡単なあらすじを交えながら、以下年代順に記事にして行きたい。
街の灯(City Lights)
花売り娘のテーマ「ラ・ヴィオレテーラ(La Violetera)」(スペインの歌曲。1931年)
街の灯 チャールズ・チャップリン Charles Chaplin / City Lights - YouTube
City Lights ending - Charlie Chaplin - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NUFXvxiG73Q(Giliora Chinquetti歌唱)
https://www.youtube.com/watch?v=1Kf9OEL1slk(Nathy Peluso歌唱。2021年)
(物語の簡単なあらすじ)
盲目の貧しい花売り娘と、その娘に恋をした浮浪者(チャーリー)の出会いのお話。
浮浪者(チャーリー)は盲目の花売り娘にひとめぼれをし、娘のためにお金を作ろうと孤軍奮闘する。そして、娘の滞納家賃や目の手術代等を工面する。
ところが、富豪からもらったその大金が盗んだお金と間違われて、刑務所に入ることとなる。
時は流れ、浮浪者(チャーリー)は出所後、目の手術や事業に成功した、その花売り娘と再会する。
その時、その娘はこれまで夢見続けていた親切なお金持ちの男性、でない浮浪者(チャーリー)を確認し、「えっ、あなたなの」と、戸惑いかつ怪訝そうに浮浪者(チャーリー)を見詰める。
(メッセージ)
貧乏人と金持ちが共存する格差社会の残酷さを一つのテーマとしているようにも思える作品。貧乏人同士又は金持ち同士なら同じ土壌に立ち、付き合い解り合えるが、そもそも貧乏人と金持ちとは同じ土壌に立てるのかという社会問題も窺われようか。
今日でいうなら、上級国民と下級国民の関係にも似ていようか。つまり、同じ人間でありながらも、思考形態が異なるのである。
この映画でも、浮浪者と女事業者との関係が、その後どうなったのかについては、映画鑑賞者の想像に委ねられている。
モダン・タイムス(Modern Times)
愛のテーマ「スマイル」(Smile。作曲/チャールズ・チャップリン Charles Chaplin。1936年)
Charlie Chaplin - Modern Times ending (1936) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=t-So-WLd4uQ
https://www.youtube.com/watch?v=0NHA0SwCY8k(MIchael Jackson歌唱分。1995年)
(物語の簡単なあらすじ)
巨大なオートメーション化された製鉄工場で部品の一部のように働くも、その後精神に異常を来たし職を失った、元職工(チャーリー)と、孤児院から抜け出し追われる浮浪少女(ポ-レット)の二人三脚で生き抜こうと誓い合うお話。
最後のシーンの、前途も暗い中、元職工(チャーリ)が「笑顔、笑顔」と言って、浮浪少女(ポ-レット)を励まし、「そうね、笑顔ね」と相槌を打って、両者は腕を組みながら、前方の大きな一本道を歩き過ぎ去って行く後姿が大変印象的である。
(メッセージ)
ベルトコンベアー式に非人間化され、病んだ職工が、同じような境遇にある浮浪少女と、平和な家庭を夢見て手を取り合い、笑顔をもって生きて行こうとする姿を描いた作品である。ある意味、資本主義がもたらす非人間性をも強調している。
このことは、今日、ベルトコンベアーによる機械化⇨IT化⇨AI化により、下級国民への非人間化が問われそうである。アメリカ資本主義による労働者の搾取。労働者は搾取され大変苦労しても、小さな希望をもって笑顔で生きて行こうと投げ掛けているもののように思われる。
ライムライト(Limelight)
テリ-のテーマ「エターナリー(Eternally/Candelejas。作曲/チャールズ・チャップリン Charles Chaplin。第45回アカデミー作曲賞受賞。1952年)
https://www.youtube.com/watch?v=utofhRlS8o8
https://www.youtube.com/watch?v=KWkyWoNuOCA
https://www.youtube.com/watch?v=RPf7PmSwt20(Petura Clark歌唱。1967年)
https://www.youtube.com/watch?v=uKvy04QMUbs(以下,Los Iracundos歌唱。1975年)
https://www.youtube.com/watch?v=W6IzO5DUGjU
https://www.youtube.com/watch?v=dOoHLO6ZqSA(Julio Igresias歌唱。1983年)
https://www.youtube.com/watch?v=tt6oj2dD_tI(以下、森山良子さん歌唱。1990年)
https://www.youtube.com/watch?v=aI3oVoKWkOQ
(物語の簡単なあらすじ)
落ちぶれた老道化師「カルヴェロ(チャーリー)」と、自殺未遂を図ったバレリーナ「テリー(クレア・ブルーム)」のお話。
落ちぶれてヤケになっていた老道化師が、同じアパートに住んでいた、病気に絶望しガス自殺を図ったバレリーナを救うことから物語が始まる。その病気の原因は青年音楽家への失恋であった。
その後、立ち直ったバレリーナのテリーが成功するも、老道化師は年齢のせいか過去の栄光を取り戻すことができなくなった。その後、失恋した相手の青年音楽家と再会し結婚の申し出を受けるが、結婚相手は老道化師と告げる。
老道化師は大成功を納めているバレリーナの下から姿を消すも、その後一時、喜劇役者として往年の栄光を勝ち得る最中に、舞台から落下して瀕死の怪我を負う。やがて、舞台関係者に看取られながら静かに息を引き取って行く。
(名言セリフ)
社会的なメッセージ性は上記2作品に比べて少ないようであるが、「この人生はどんなにつらくとも生きるに値する。そのために必要なものは、勇気と想像力、そして少しばかりのお金なんだ」「人生は素晴らしい。恐れの気持ちさえ持たなければ」との、主人公のセリフは人生訓ともなりそうである。
おわりに
以上、縷々チャップリンの映画音楽3選を紹介してきた。この中では、「エターナリー」が一番良い曲と思われる。それも郁子なるかな、カヴァー曲が断然多いことからもそう言えようか、
他方映画の3作品では、「街の灯」が最高傑作でなかろうかと思う。特に、最後のシーンが、絵も言われずに大変印象的であるから。ただ、一般的に「モダン・タイムス」を最高傑作に挙げる人が多いようである。
いずれにしろ、上記3作品は甲乙つけ難く、数多くあるチャップリン映画の中でもトップクラスに挙げられよう。
最後に次の「チャプリンの映画音楽メドレー」を紹介して、本記事を終えたい。
https://www.youtube.com/watch?v=rFgai66XouI