昨日は晴れ。今日は曇り。
今朝、一昨昨日の夕方に「イソヒヨドリ♀」が止まっていた、その同じ屋根の天辺に「イソヒヨドリ♂」が止まっているのを目撃した。
その様子は次の写真(2枚)のとおりである。
どうやら、イソヒヨドリにも春がやって来たようである(繁殖期3月~6月頃)。
はじめに
2001年(平成13年)4月26日、小泉純一郎元首相は、国会の所信表明演説で「米百俵」の故事(「米百俵」の精神/長岡市)を引用した。
それは、「今の痛みに耐えて明日をよくしよう」という改革への精神を、である(市長コラム第47回 米百俵の精神 | 安芸高田市)。
しかし現在、格差社会下の日本を思うに、この「米百俵」の演説の所期するものは何であったのだろう?
その当時、経済財政政策担当大臣として構造改革を推進して来たのが、経済学者の竹中平蔵氏であった。その構造改革の一例が単純労働者にも適用される「労働者派遣法」の策定である。そして、2004年の同法改正により、派遣労働者が一気に拡大され、今や全労働者の40%近くまで占めるようになった。
その後、彼は大手派遣会社パソナグループの会長(特別顧問を経て、2009年~2022年)に収まった。
その彼が、労働者解雇規制の緩和に奔走し、構造改革と言う美名の下、非正規労働者の拡大に奔走・尽力して来たことは、火を見るより明らかであろう。
2009年、東京・日比谷公園での年越し派遣村事件を切っ掛けに、同年8月末の衆院総選挙で民主党が政権を獲得しした。しかし、労働政策において際立つ成果を上げることなく、同政権末期の野田佳彦氏の下で消費税増税が敢行され、その後衆院総選挙で大敗して民主党は瓦解した。
2012年、安倍晋三内閣が誕生して「小泉構造改革」路線を継承した「アベノミクス」政策が遂行された。しかし結局のところ、ゾンビ企業を温存するばかりで「成長戦略」に躓いた。
その間、戦後最長の「いざなぎ景気」に迫る「アベノミクス景気」(2012年12月~2018年10月)が、大手マスコミ等で持て囃された。しかし、多くの庶民には「景気の実感がない」として訝しがられた。
その理由については、次のブログ・シリーズで述べているが、そもそも、アベノミクスの本質とは、何であったのかが、問題となる。
「特売チラシ」から解放されたいんだが・・・そこに不条理が(3)!(>_<) - 諦観ブログ日記(2019年1月26日)
この問題について、以下で、上記ブログ記事の一部を引用する。
アベノミクス
(1)アベノミクスとは
アベノミクスとは、安倍晋三首相とエコノミクス(経済)を合わせた造語で、安倍政権が進める経済政策。❶日銀による大胆な金融緩和❷公共事業を拡大する財政出動❸規制緩和等による成長戦略の3本の矢からなる、とのこと(朝日デジタル)
一般的には、❶と❷の効果により景気回復したが、❸に目立った成果がないので、新3本の矢を打ち出したとのこと(この論者は景気回復を強調)である。
安倍政権下の経済政策を振り返る:景気回復は実現したが、成長戦略に目立った成果なし | nippon.com
思うに、結局のところ、成長戦略が行き詰まっているので、大絶賛するほどの好景気と言うものでなったことになるのだろうか?
他方で、アベノミクスは失敗したとの意見もあるところ、企業の業績や雇用情勢が良いこともあり、これに反論する意見もある。立ち位置により、識者間で見解が異なるよう!(?_?)
しかし、ここでの核心的な問題は、景気が回復したか、又好景気か否かよりも、その景気(当方は「それなりの景気」と主張)が多くの国民に対して、どれ程の恩恵を与えているか、という点である。
(2)アベノミクスの本質
中原圭介氏は、アベノミクス当初から、約2割は恩恵を受けると訴えていた。そして、世論調査の結果も、景気回復を実感していると答えた人々は2割、普通に暮らす8割は景気を実感していないとのことである。
なぜ?
それは、富裕層と大企業に勤める人々の割合が、大まかにいって2割くらいだからと。
さらに、なぜか?
アベノミクスが円安によって、株価や企業収益を高めるかたわら、輸入品の価格上昇により人々の実質賃金を押し下げ、それによる弊害を伴って、普通に暮らす8割の人々は蚊帳の外に置かれるからと述べている。
とりわけ、地方で暮らす人々は良くないとの話である。
アベノミクスの恩恵を受けられるのは約2割?現実味を増す筆者の予想 - ライブドアニュース
中原圭介氏の当初の予想は、ずばり当たったことになる。
他方、サラリーマンの平均年収は、バブル崩壊から現在まで2割下がったという。ところが不思議なことに、一方で、個人の金融資産がバブル期以降激贈しているというのだ!(>_<)
その理由は、何と、日本では億万長者が激増しているからとのこと。
一体誰が?
大企業の株を大量に持っている人が大半と!彼らの配当収入が膨大だからということのよう。
森永卓郎 なんと!億万長者の日本人が増えている 最新ニュース速報 2018年8月22日 - YouTube
そういえば、一例として、ソフトバンクの孫正義氏やファーストリテーリングの柳井正氏は、役員報酬は会長であるにもかかわらず、部下の外国人役員よりはるかに低い。しかし、自社持ち株からの配当収入を合わせると膨大な収入額になっている。
勿論、慣行として日本人の役員報酬は昔から海外の役員に比し、低いということもある。しかし、おそらく最大の理由は、納税負担面で有利であるからでなかろうか?
有名経営者「本当の年収」 ケタ違いで1位になったのは?│NEWSポストセブン
しかも、企業収益は増加しているのに、企業が内部留保金(貯金)を天文学的に増やし続けているというのである。
実感できない「いざなぎ超えの好景気」バブル以降2割下がった給料 - ライブドアニュース
これらのことは、次の井上伸氏のTwitter内図表からも、大企業収益、配当収入、内部留保金、大企業役員報酬の増加が看て取れる。
なお、配当収入、内部留保金、高額役員報酬の上昇は、法人税率が1984年度に43.3%だったのが、2015年度以降には23.9%へと減額(ウイキペディア)されていることも関係していようか?さらに、2018年度には23.2%に減額。
企業は史上最高の経常利益を更新し続けていますが法人税収は増えていません。1997年度の経常利益27.8兆円で法人税収13.5兆円の比率を2017年度に当てはめると法人税収は40.6兆円になり、28.9兆円も税収が増えます。いま消費税収は17.6兆円ですが消費税廃止も可能で、まして消費税増税など必要ありません pic.twitter.com/A1BFggKSrq
— 井上伸@雑誌KOKKO (@inoueshin0) January 10, 2019
「労働分配率は景気が良くなると下がって当たり前!」と主張されている方へ
— 井上伸@雑誌KOKKO (@inoueshin0) January 15, 2019
この20年で、大企業の配当金は5.7倍増、経常利益は3倍増、内部留保は2.4倍増ですが、賃金だけ減少。景気が20年間ずっと良かったので賃金の絶対額も下がって当たり前とでも言うつもりなのでしょうか? pic.twitter.com/eBTkG3jobm
中嶋よしふみ氏 @valuefp によると景気が良くなっても賃金を上げないのは労働者のためで賃上げを求めるのは「悪質」だそうです。大企業の役員報酬額の倍増はOKだけど労働者の賃上げは「悪質」って中嶋よしふみ氏スゴイ!https://t.co/yZRdn7iljg pic.twitter.com/TsnD2eJclA
— 井上伸@雑誌KOKKO (@inoueshin0) January 15, 2019
ところが、日本人の平均給与は、20年間、20ポイントも下がっているという。
しかも、先進国では日本だけだとのこと。(>_<)
このようになるのは、次の井上伸氏のTwitter内図表の労働分配率からも推断できようか。
いま労働分配率は66.2%でバブル期にも及ばず、43年ぶりの低さ。一方、企業の経常利益・内部留保・配当金は史上最高。そして安倍政権発足前より役員報酬(1億円以上の役員)と富裕層上位40人の金融資産は倍増、その見返りに自民党への企業献金も倍増。企業と富裕層と自民党に富が集中しています pic.twitter.com/K0RH0M1pZx
— 井上伸@雑誌KOKKO (@inoueshin0) January 14, 2019
「労働分配率は景気が良くなると下がって当たり前!」と主張されている方へ
— 井上伸@雑誌KOKKO (@inoueshin0) January 15, 2019
17年間で賃金が下がっているのは日本だけです。この17年間、他の国は景気が悪く、日本だけずっと景気が良かったので賃金が下がったとでも言うつもりなのでしょうか? pic.twitter.com/OVKcgScZ3U
上記記事では、一般サラリーマンの給料が下がっているから、多くの人は景気の実感ができないと断じている。
勿論、そのサラーリーマンの中に非正規労働者も入ってのことでないと、理由説明には不十分であろう。大企業の正規労働者だけではあるまい。さらに、公務員や中小企業の正規・非正規労働者を含めて考えなければならない。
特に、全労働者の内37%余りいる非正規労働者(生計の主柱者)の低賃金は、深刻である。おまけに、今回の出入国管理法改正による外国人単純労働者の受入拡大は、さらなる賃金低下にもつながりかねない。
以上から、結局のところ、アベノミクスは超富裕層を優遇し、それに対し、少なくない一般庶民を貧窮に陥らせる政策ではなかったかと推察される。つまり、中級国民の下流化である。それでも、成長戦略が上手くいっていれば、その現象を多少押しとどめても、かってのような「一億総中流社会」にはなれそうにないだろう。
ネット上話題になった「上級国民」問題について(私見) - 諦観ブログ日記(2019年5月14日)
それは、どうしてかと言うと、トリクルダウン理論の虚構性にあるから。
さらに以下、上記ブログ記事の一部を引用する。
トリクルダウン
トリクルダウン理論(Trickle- down theory)の虚構性(破綻)
前回の冒頭における「景気回復」≒「好景気」の図式は、さらに、=「小市民の生活の豊かさ」≒「生活実感」へと繋がる論理が、通常であれば、成り立つはずである。
これを支える理論こそ、「トリクルダウン理論」(滴り落ち理論、又は、おこぼれ理論)である。
その意味は、富裕層が潤い社会全体の富が拡大すれば、富は貧困層にこぼれ落ち、経済全体が良い方向に進むとする経済理論(知恵蔵)である。
この理論を日本で主張した代表格は、竹中平蔵氏だと言われている。
竹中氏はトリクルダウン理論を否定しているが、周囲の見方は違うよう。
安倍首相もこの理論を主張したことはないと述べている。しかし、与党議員、閣僚及び官僚は、アベノミクスはトリクルダウン理論の具現化と認識しているようである。
(?_?)
安倍首相の「トリクルダウンとは一度も言っていない」発言について - ロジ・レポート
「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返しのア然|日刊ゲンダイDIGITAL
経済評論家の三橋貴明氏は、「安倍政権のブレーン竹中平蔵氏が認めた『トリクルダウン』の嘘」と題した記事を載せ、「いまの日本でトリクルダウンが成立する可能性が限りなくゼロに近い」と主張していた。これは、二年前の記事である、
安倍政権ブレーンの竹中平蔵氏が認めた「トリクルダウン」の嘘=三橋貴明 | マネーボイス
現在、三橋貴明氏が述べた主張がそのとおりになっている社会経済状況が、これまで縷々述べたことからも立証されたことになろうか。
よって、多くの人が「景気の実感がない」と言うのは、むしろ当然ということになろう。結局、トリクルダウン理論は虚構に過ぎなかったということになる。
このことは、2014年、既に、英国ガーデアン紙も「OECDがトリクルダウン理論を否定」と発表していた。
OECDが提案。富裕層への課税を高めると同時に、下の40%を助ける政策を推進すべき:想田和弘氏 | 晴耕雨読
OECDが「トリクルダウン」効果を否定する報告書を発表した - kojitakenの日記
おわりに
ただ、世界各国の中で、このトリクルダウン効果が生まれているのは、現戦時下のロシアと言うのである。
つまり、アメリカ・コーネル大の「ニコラス・モラル」助教曰く、「ロシアの巨大な軍事支出により雇用が生まれ、賃金上昇、消費によりトリクルダウン効果が生まれている。」と!
プーチン大統領に制裁効かず ロシア経済なぜへたらない? 資源収入好調捲 | NHK(2024年3月15日)
これに関し、フランスのトマ・ピケティ教授は「21世紀の資本」で、歴史的に「戦時中における経済格差の縮小」を証明していた。
これも、ロシアへのG7経済制裁が十全に機能することなく、好調な理由(実質DGP3.6%。日本は1.9%)として、
❶ 欧州のロシア産原油の購入(インド、中国等を経由)
❷ 欧州によるロシア産LNG輸入は禁止されず
ロシアの石油がなぜサウジアラビアに? | NHK (2023年7月26日)
の背景があるからであろうが。
そのためか、今や日本は賃金水準も韓国にまで抜かれ、2002年韓国の賃金水準が日本の賃金の46%だったのが、20年ぶりにむしろ6%上回った(韓国経営者総協会ー中央日報)、とのことである。
20年前は半分だったのに…韓国の賃金、日本と逆転 - ライブドアニュース(2024年3月18日)
と同時に、国連開発計画によると、日本の「国民の豊さ」順位は24位、韓国は19位の有様になっている。
国連報告書“国民の豊かさ”日本24位 世界は格差拡大し二極化 | NHK | 国連
2001年の「今の痛みに耐えて明日をよくしよう」という米百俵の所信表明演説が何であったかについて、結局のところはアベノミクスへと繋がる、日本に格差社会を構築・根付かせるための序言であったのでなかろうかと思わざるを得ない。
(参考資料)
竹中平蔵氏は、高所得者への高い税金によって日本が成長しないかのように言い、日本経済を悪くしているのは高所得者の足を引っ張る国民に問題があると指摘
— 井上伸@雑誌KOKKO (@inoueshin0) 2024年3月15日
↓
事実は、日本の高所得者の税負担はイギリスの43%、アメリカの68%しかなく、日本こそ富裕層天国です。https://t.co/qNU0RnJ0lG pic.twitter.com/VAMQz80VI6
GDP(名目国内総生産)4位転落に、激震も!? - 諦観ブログ日記(2月19日)
竹中平蔵氏「(日本の)格差は縮まっている」「貧富の差は欧米諸国に比べれば低い」
— 井上伸@雑誌KOKKO (@inoueshin0) 2024年3月15日
↓
事実は、日本はG7ワーストの格差大国・貧困大国 pic.twitter.com/EHTcQni4bq
竹中平蔵氏「まずは給料を上げろという日本人は間違っている」
— 井上伸@雑誌KOKKO (@inoueshin0) 2024年3月15日
竹中平蔵氏の言うとおりにしてきた結果がこれです↓ pic.twitter.com/5OZTDp3Dn5
最後に、恒例の心癒される「レトロな名曲」を紹介して、本記事を終えたい。
それは、次の歌手らが歌唱する4曲である。
❶ 「Pochill」歌唱の「Porque」
https://www.youtube.com/watch?v=31rfUCGUCgc
❷ 「Bárbara Y Dick」歌唱の「Respirand」(1976年)
https://www.youtube.com/watch?v=InDsKButuh8
https://www.youtube.com/watch?v=amF7kat3a8E
❸ 「Toi & Toi」歌唱の「Eleni」(1990年)
https://www.youtube.com/watch?v=QU0gOmaEv-o
https://www.youtube.com/watch?v=1kn5NhmIiQI
❹ スペイン・マドリッド出身の女性歌手「Myriam Hernández(ミリアム・フェルナンデス)」歌唱の「El Hombre Que Yo Amo」(1994年)