今日は曇り時々晴れ。

(今夕目撃の双発機)
はじめに
フィンランドの音楽界は、若者らの間で流行っているヘヴィ・メタルやハード・ロックが主流のようである。それは、人口一人当たりのヘヴィ・メタルバンドが最も多い国(10万人当たり63のバンド/ヘヴィ・メタル天国)であることからしても頷けよう(※1)。しかし、中高年層にとっては、体力的に付いて行けそうもないハードな音楽である。
そこで、中高年層にとってソフトな日本の演歌等の歌謡曲に似たメランコリックなメロディーの「イスケルマ(iskelmä/大衆音楽)」に注目している。
もしかしたら、この「イスケルマ」の流行こそがフィンランド国民を世界一幸せにしている一つなのかも知れない。(^^♪
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※1 ヘヴィ・メタル音楽は、フィンランドが世界で有数のうつ病罹患率が高いため、その発散に最適とのことである(https://zuuonline.com/archives/227458)。
なお、2021年WHOのデータから、フィンランドは世界のうつ病率ランキングが9位である(https://jasonshin.blog/world/ranking/depression-rates-by-countries/)。
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フィンランドポップ(イスケルマ)の特徴
これまで、数々のフィンランドポップを取り上げ紹介して来たのは、日本歌謡曲との親和性を感じているからである。
その上に、フィンランドのシュラーガー歌手「Leif Lindeman(レイフ・リンデマン)」が歌唱している「Enkä Koskaan unohda」( https://www.youtube.com/watch?v=DXsY0ki0l58)というタイトル曲を見つけ、猶更その感を確かなものとしたんだが。つまり当初、「Enkä(えんか)」は「演歌」かと思いもした。
ところが何とそうではなく、グーグル先生曰く「そして私は決して忘れない」の「そして私は」であった。
まあ、そんな思い込みをするほどに、フィンランドポップと日本の歌謡曲とは、曲想において随分似たところがある。
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ヨーロッパでのフィンランドポップ(イスケルマ)における音楽的位置づけ
従来、ヨーロッパの曲が世界的に有名になるには、かってのイタリア・サンレモ音楽祭(1951年以降開催)で優勝することが一番近道であった。そして又、ユーロビジョン・ソング・コンテスト(ヨーロッパ最高峰のポピュラー音楽祭。1956年以降開催)で優勝することも同様であった(※2)。
フィンランドは、1961年このユーロビジョン音楽祭に参加している。しかし、2006年にローディが「ハード・ロック・ハレルヤ https://www.youtube.com/watch?v=gAh9NRGNhUU」で優勝するまでは、他国と比べ極めて芳しくない惨憺たる成績であった。

思うに、日本の歌謡曲もそうであるが、メランコリックな曲はヨーロッパではあまり好まれないようである。これはおそらく、ヨーロッパ人にとって、ウェットな曲よりもドライな曲が好まれる傾向にあるからだろう。
日本の歌謡曲もフィンランドポップと同様(特にド演歌は猶更)、ヨーロッパで遍く受け入れられているように思えない。
※2 この欧州音楽祭の有名な歴代優勝者として、❶ 1964年イタリアのジリオラ・チンクエッティ(夢見る想い https://www.youtube.com/watch?v=Bz_xKFTqphQ、https://www.youtube.com/watch?v=EoTX1DUAtUI )、 ❷ 1965年ルクセンブルク代表のフランス・ギャル(夢見るフランス人形 https://www.youtube.com/watch?v=rNbZVHx9B-4)、 ❸ 1966年オーストリアのウド・ユルゲンス(メルシー・シェリー https://www.youtube.com/watch?v=nIXrBV1idKc)、
❹ 1972年ルクセンブルク代表のギリシャ人歌手・ヴィッキー・レアンドロス(Vicky Leandros。Après toi/想い出に生きる https://www.youtube.com/watch?v=tiMjKoXo8wQ、https://www.youtube.com/watch?v=318PPA4DFKE)、 ❺ 1974年スウェーデンの ABBA(恋のウオータールー https://www.youtube.com/watch?v=Sj_9CiNkkn)、 ❻ 1988年スイス代表(カナダ人)のセリーヌ・ディオン(私をおいて旅立たないで https://www.youtube.com/watch?v=VXLWfXmlXPc)がいる。
フィンランドポップ(イスケルマ)と日本歌謡曲の親和性
そんなフィンランドは、日本から一番近いヨーロッパの国(東京~ヘルシンキ間は7826㎞。フィンエアーの直行便で約10時間20分)である。この距離的な近さからも、日本とフィンランドとの間に何かしらかの親近感がありそうである。
それは、日本の歌謡曲がフィンランドでカヴァー曲として歌唱されていることもあろうか。一例を挙げれば、フィンランドの女性ポップシンガー「Kaija Lustila(カイヤ・ルスティラ)」が歌唱している、次の「Sinitaivas」(1992年)である。
https://www.youtube.com/watch?v=e7i1Hq76fV4
https://www.youtube.com/watch?v=h8poYCqkouA

この曲は、アジアの歌姫「テレサ・テン」が歌唱している、「つぐない」(作詞/荒木とよひさ、作曲/三木たかし、編曲/川口真。1984年 ※3)のカバー曲である。
https://www.youtube.com/watch?v=Vhua82ueiPE
ところが何と、フィンランドのシンガーソングライター「Ilkka Vesterinen(イルッカ・ヴェステリネン)」が歌唱している、次の 「Aamuun on tuokio aikka」(作詞・作曲/Ilkka Vesterinen。1978年?)を見つけるに及んで、とある日本歌謡曲のメロディーとの類似性を思わざるを得ない(※4)。
https://www.youtube.com/watch?v=_LpVf16xbj4
https://www.youtube.com/watch?v=VaHesQTXmjU(ただし、Lasse Hoikka歌唱)
それは、日本で大ヒットした「チェッカーズ」歌唱の「星屑のステージ」(作詞/売野雅勇、作曲・編曲/芹澤廣明。1984年 https://www.youtube.com/watch?v=78M1rN1xsyY、https://www.youtube.com/watch?v=vAiJvj0TSPI)であり、
さらに、これも大ヒットした「吉幾三」さん歌唱の「酒よ」(作詞・作曲/吉幾三、編曲/池多孝春。1988年 https://www.youtube.com/watch?v=fmVe9uzCGJs)である。
まあそれだけ、フィンランドポップと日本歌謡曲の間には、相通じるものがある。
※3 「つぐない」は、スペインの歌手「フリオ・イグレシアス」が歌唱していた「33才」をモチーフにして作曲されたと言われている(https://www.youtube.com/watch?v=mnfHvHhL27E、https://www.youtube.com/watch?v=vISrPgLsRwo)。
※4 ネット情報で、TV漫画「タイガーマスク(伊達直人)」のエンディング「みなしごのバラード」(歌唱/新田新(森本英世)・スクールメイツ、作詞/木谷梨男、作曲・編曲/菊池俊輔。1969年)にも似ているとの話があるも、確かにメロディーの極一部が似ている(https://www.youtube.com/watch?v=utSlChmXZM0)とは言え、曲全体がとても似ているように思えない。
おわりに
以上、縷々記述してきたように、フィンランドポップ(イスケルマ)と日本歌謡曲には、親和性があることが分かった。それは、ウェットな曲想が多いことからも言える。そのため、多くのヨーロッパ人にとってはあまり受けがよろしくないようである。しかし、日本人にとっては受けが良さそうに思えるも、なぜかフィンランドポップ(イスケルマ)が日本に紹介されることはなさそうである。
それはやはり、日本の音楽がフランス、ドイツ、イタリアやイギリスの音楽先進国の影響を受けて来た経緯があるからだろうか?
それにしても、日本はもっと世界一幸福な国と言われている「フィンランド」の歌謡曲「イスケルマ」を遍く導入しても良さそうに思う。というのも、日本も「世界一幸福な国」に肖りたいと思うのは当たり前のことであろうから。
最後に、フィンランドの歌手「Leppänen&Savileht Duo(レッパネン&サヴィレト デュオ)」が、日本製の鍵盤楽器「YAMAHA(三本の音叉のロゴ入り)」を使用して、名曲「Hiljaiset sillat」(https://www.youtube.com/watch?v=xOYo_CsffGE)を歌唱していたのをユーチューブで見つけるにつけ、フィンランドと日本との音楽的な関りに思いを致すのである(https://logomarket.jp/labo/logomark_yamaha/)。
