今日は快晴。本格的な春の陽気。
- はじめに
- 「子供のいじめ」とは
- 「生徒いじめ」露見の障害
- 学校側の責任は重大
- 大人のいじめ(ハラスメント)
- 子供のいじめは、大人へのいじめ(ハラスメント)に連動する伏線か?
- 「いじめ」に立ち向かおう!
- 終わりに
今回は、「いじめ」(bullying)について、考えて見たい。
はじめに
❶「いじめ」によると思われる子供の自殺が、また、次の記事で取り上げられた。
春休み中に中2男子自殺、いじめの可能性 佐賀・基山町|ニフティニュース
❷タレントの中川翔子(愛称・ショコタン)さんが、中学校時代に「いじめ」にあった経験を踏まえ、Tweet投稿している。
中川翔子「いじめられた方が学校いけなくなるのおかしい」「絶対いじめた方が悪い」 新学期に向けて連続ツイート
❸2017年度、子供の「いじめ」認知件数は過去最高の41万4378件(重大事案は474件)、さらに、小中学校の不登校児童生徒数は14万4031人との文科省調査がある。
いじめ認知件数、過去最多の41万件 : 生命、精神に影響及ぼす重大事案は474件 | nippon.com
❹他方、大人の「いじめ」(ハラスメント)には、次のような多数の裁判例がある。
裁判例を見てみよう|あかるい職場応援団 -職場のパワーハラスメント(パワハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト-
❺子供だけではない、増える「職場いじめ」
❻WHO発表、2015年の日本のうつ病患者数は約506万人(但し、厚労省は2014年のうつ病等受診率を112万人と把握)。
うつ病患者、10年で18%増 早急な対策必要とWHO :日本経済新聞
以上のように、「いじめ」は、 子供も大人も関係なく行われている。これは、少子高齢化の日本社会にあって、「いじめ」がもたらす、子供や大人のうつ病、引きこもりや自殺等による社会経済的・国家的人的資源の損失は甚大である。
なのに、無くならないばかりか、増加している。
では、子供のみならず、社会人である、一応理性を備えていると見られる大人までもが、一体何故、「いじめ」に遭うのだろうかが、今回特に考えて見たいテーマである。
それには、まず子供時代に行われた「いじめ」の延長線上に、大人の「いじめ」があるのではないかという仮説を考えて見る。勿論、周囲の「いじめ」を黙認・許容する環境が整っていることが大前提であろうが・・・。
果たしてそれは、的を得ているだろうか?
「子供のいじめ」とは
まず、「いじめ」とはどういうことを指すのか?
この点、ブリタニカ国際大百科事典は「自分より弱い者に対して暴力や嫌がらせを加え、身体的、心理的に苦痛を与える行為」とし、又、百科事典マイペディアは「同一の集団内部で、優位に立つ集団や個人が、立場の弱い者に、身体的・心理的苦痛を与えること」としている。
そして、「いじめ」の態様としては、❶暴力、❷たかり、❸言葉の脅し、❹持ち物隠し、❺冷やかし、からかい、❻悪口、陰口、❼仲間外れ、➑集団による無視、が挙げられている。
ここで肝心なのは、それらが継続かつ反復的に行われるという点にある。単発的であれば、心身へのダメージも比較的少なくて済み、一過性のものとして問題になることもそれほどないであろう。
「生徒いじめ」露見の障害
「いじめ」発覚の露見の障害として、❶いじめ隠し、❷学校や教育委員会の「いじめ」の隠蔽、そして一番の問題は、❸「いじめられた生徒が声を上げられない」という点である。
ところで、社会病理学者の森田洋司氏は、「いじめの四層構造」説で、加害者、被害者、観客、傍観者の四者関係の成り立ちの中で、「いじめ」が行われる場合を指摘している。
子どもの「陰湿いじめ」生む大人社会のパワハラ:日経ビジネス電子版
そうすると、被害者本人が声を上げにくい状況は分かるも、それなら何故、観客や傍観者は、「いじめ」を止めさせたり、又は、これを学校側に通報しないのだろうか?
このことは、大人の「いじめ」にも当て嵌まりそう。
おそらく、所謂「チクリ」による報復を恐れてか、自分には関係がないという意識か、それとも、古代ローマ帝政時代の格闘競技のように「おもしろい見世物」を見ているとでも思ってのことなのであろう?
以上の問題の本質には、学校社会内部の校則等規範遵守の劣化が挙げられよう。
学校側のいじめ防止対策が機能不全状態に陥っている可能性も十分あり得る。教職員が一丸となって、いじめ防止対策に取組み実践しているのか疑わしいからである。何故、一人の教師にいじめ対応を個別問題として押し付けるのだろうか?
もっとも、教職員に、うつ病患者が続出している現状を鑑みると、その責任の多少は文科省にもあろう。
精神疾患で休職の教員、2年ぶり5千人台 長時間労働一因(1/2ページ) - 産経ニュース
これらの傍観者等の在り方も、「いじめ」露見の障害になっていると思われる。
学校側の責任は重大
学校内は、外部者の立ち入りが禁止されている閉鎖空間である。学校内を外部の者が
ウォッチすることは出来ない。学校ウォッチャーでもいれば、ある程度の「いじめ抑止力」が働くが・・・。
そうすると、学校内で起こった「いじめ」トラブルにつき、加害者は勿論のこと、それ以上に学校側は言逃れのできない全責任を負うべきであろう。校内生徒への管理責任懈怠である。しかも、生徒が自殺したというのは、ほとんどが「いじめ」が原因により引き起こされた可能性が高い。通常考えても、自殺する理由が乏しいからである。
思うに、もし、第三者委員会により、生徒の自殺がいじめを原因にしたものと認定されたのなら、校長はクビ、副校長等管理職は全員ヒラ教師に降格、担任教師や見て見ぬ振りをした教師は減給処分という厳罰に処すべきであろう。
そうでないと、このような事態は、何度でも繰り返されるのでないのか?
現に、日本全国の学校至る所で、生徒の自殺が後を絶たないでいる。従来の処分では、甘利にも甘すぎはしまいか!
なによりも、人格形成の発展途上にある未熟な子供の命を失わせるのは、極めて重大である。知らぬ存ぜずでは済ませられないだろう。刑事上の犯罪に問われることはなくても、民事上の責任は問われる可能性が高い。しかし、それだけで済まされる問題なのであろうか?
大人のいじめ(ハラスメント)
ハラスメントについては、過去記事にも触れたが、その定義は「他者に対する発信・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えること」とされている。
なお、私見ではあるが、「本人の意図には関係なく」の点は疑問である。もし法的責任を追及する場合は、少なくとも過失が必要だから(不法行為責任。民法709条)。 又、本人の意図がない「嫌がらせ」「いじめ」は、考えにくい。
https://www.osaka-med.ac.jp/deps/jinji/harassment/definition.htm
究極のハラスメントは、パワー・ハラスメントである。このレベルになると、脅迫罪・強要罪・暴行罪等の刑法上の犯罪が成立する可能性は高くなる。
これらは、上記子供の「いじめ」でもしばしば見られる。子供の場合は触法少年として補導対象になるが、学校側は事を荒立てなくないためか、子供同士のふざけ合い又は喧嘩として処理し、穏便に済ませることが多いようか?
大人の場合は、行き過ぎた面はあるものの、職務指導の範囲内として多くは見過ごされていようか!問題となったスルガ銀行の場合は、「かぼちゃの馬車」事件で大騒ぎになったことから、事が露見したのであろう。行員にとって、内部告発でもしようものなら、職場を追放されることが怖かったのであろう?
子供のいじめは、大人へのいじめ(ハラスメント)に連動する伏線か?
ウィキペディアは、「最近では学校でも嫌がらせを経験していながら、社会に出てからもこういった内容の嫌がらせが学校の延長で社会人になってからもなお会社内でも長引いて続く場合も起こっている。この場合、人格障害などに突き当たるという問題もある。」と記述している。
この問題については、まず、「いじめ」に遭いやすい子供気質等の諸事情が、社会に出てもそのまま尾を引き、再度、職場でも「いじめ」に遭いやすい可能性を指摘できよう。
以下のブログ記事にも、類似のことが述べられている。
これによれば、子供が「いじめ」に遭いやすい人の原因として、❶気の弱い性格、❷目立つ、❸真面目すぎる、❹皆と同じことができない、を挙げているが、❺おとなしいということも含まれようか。
“いじめられやすい子ども”の特徴と”いじめられない”方法 │ パピマミ
他方、大人が「いじめ」に遭いやすい性格として、❶気が弱い、❷嫉妬されやすい、❸ネガティブ、❹コミュニケーション能力が低い、❺外見に全くこだわらない、を挙げている。
いじめられやすい人の原因・特徴・性格は?|大人のいじめのタイプは? | BELCY
以上の子供と大人との「いじめ」に遭いやすい人の性格の、それぞれの類似点を比較検討して見ると、子供時代に行われた「いじめ」の延長線上に、大人の「いじめ」があると考えて見て、当たらずとも遠からずのように思われる。
「いじめ」に立ち向かおう!
思うに、これら「いじめ」に遭う人々に共通し、結論として見えて来る環境要因は、「孤立化」にあろう。そもそも、人間とは、「人と人の間」という言葉からなっているように、社会的存在の生き物である。そうすると、例え、少人数でも、人と人との相互援助なくば生きにくいのである。
いくら、自己責任の原則と言ったって、さらに自助努力と高邁なことを言っても、周囲の援助なくば「絵に描いた餅」にもなろう。むしろ、それらの言葉自体、強いものが自己を正当化するためのものであると思われる。その根底には、それらから外れる者は、人格的生存すら喪失しても構わないという哲学が見え隠れする。
今は、まさに新自由主義による「弱肉強食」の時代だから、自己責任論者からすると、当然の論理なのである。
では、弱い者がこれに対抗するためにどうしたらよいだろうか?
同じ弱い者同士が結束し、強い者にぶっつかっていくしか、人格的生存として生きる術がないように思える。いじめ防止対策の有効な解決策は、良き仲間づくりに腐心するしかないようか!そして、「学校ウォッチャー」や「職場ウォッチャー」は、これらの仲介者としての役割を果たすべきであろう。
終わりに
子供のみならず大人まで、自殺者やうつ病患者、ひきこもり等の続出は、人的資源の面で、日本の社会経済的大損失のみならず、延いては国家的損失の最たるものであろう。それにもかかわらず、実効的な施策が打ち出されているように思われない。欧米でも同様な悩みを抱えていると言い訳しても、単一民族である日本人にとって、他国とは比べられない!
特に、子供の「いじめ」が、大人への「いじめ(ハラスメント)」に連動する伏線となっているという仮説が成り立てば、元を断ち切るのが肝心であろう。しかし、それは、後述の大人の事情の件を考えると難しい面がありそう。
それにしても、記者をいじめた(単発的恫喝で一過性のものゆえに、「いじめ」の範疇からは外れようか?)と言われているこのお偉いお方は、「いじめ」に遭ったことがあるのだろうか?
麻生副総理のパワハラ。「パワハラとは地位や優位性を背景に精神的・身体的苦痛を与える又は環境を悪化させる行為」(厚労省定義)。「組織のトップはパワハラが組織の活力を削ぐものと意識し自ら範を示すべき」(厚労省提言)。麻生副総理は自ら日本の活力を削いでいるのですhttps://t.co/b5QWkdJC0A
— 井上伸@雑誌KOKKO (@inoueshin0) April 7, 2019
さらに又、パワハラをしたとされる、次のお偉いお方もどうなんでしょうねぇ~?
パワハラした疑いのある人が、大出世。パワハラ被害を受けたと目された人が、事実上3ランク格下げの左遷?という不条理。
https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=5557
以上のお偉い方々の件のことを考えると、この世から「いじめ」をなくすことは不可能なように思える。
日本の学校から「いじめ」が絶対なくならないシンプルな理由(内藤 朝雄) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)
大人の「いじめ」はなくならない――脳科学者・中野信子が解く、本能をコントロールする「いじめ回避術」とは? | ダ・ヴィンチニュース
そうすると、結局のところは、個人個人がしっかりとし、積極的かつ前向きに、上を向いて歩いて(下記ユーチューブにある坂本九の「上を向いて歩こう」を歌いながら)行かねば、生き抜くことが難しい世の中になっているよう?
戦い方にいろいろ策はあろうが、うつ病になってめげたら、それこそ「いじめ主」の思う壺に嵌ってしまい自滅するだけ!
ましてや、自殺はもっとも公益性に反する、まことに怪しからん行為だ!
声が出続ける限り、「help me」を叫ぼうでは、あ~りませんか!
(追記1)
4月9日、快晴。
❶広島県呉市の中学校で発生した「下着を脱がすいじめ」を、学校がこれを放置。
しかも、あろうことか、不登校になった被害生徒本人を、無理やり説得して口止めしたようと!
❷神奈川県茅ケ崎市の小学校では、「いじめ」を受けて不登校になった男子児童を、担任が放置した事件で、担任は停職1ヶ月、校長は減給6ヶ月、教頭は戒告、の各懲戒処分を受けたと!
いじめを半年以上放置 広島・呉の中3下着脱がされ精神疾患 - 毎日新聞
いじめ放置を指摘され「被害児童のため」と言い放つ市立中の何様
(追記2)
令和元年8月10日、曇り。
日本では「貧乏な家の子」がイジメにあいにくいという記事
俄かに信じ難いも、昔と違って、今はそうなのだろうか?
思うに、裕福で、頭の良い子は人への立ち回りも上手いはずなのに・・・?
不思議なことだ!