諦観ブログ日記

ー Que Será, Será(ケセラセラ)ー

世に憚る「3得」(遣り得、逃げ得、ゴネ得)について

 昨日は終日小雨だったものの、余り寒くなかった。今日は曇後晴れ。少し寒い。

 

はじめに 

 

 今回、世に憚る、周囲から怪しからんと思われている人の「❶遣り得、❷逃げ得、❸ゴネ得」の3つの得について考えて見たい。

 これらの「3得」は本人にとって、得であることには間違いない。しかし、周囲にとっては極めて許されない迷惑なことであろう。
 

 昔からこれらの「3得」はあるにあったが、「損得勘定」が跋扈する現在に比べて、それ程多くはなかったと思われる。

 
 「まあ~、しゃーないか!」で済んだであろうものもある。

 ある意味、寛容な社会であった。

 ところが、現在、多くの人が利益(得)にならないことはやらないという米国型利益至上主義蔓延(不寛容な)社会化が進行するに至って、上記3得は「しゃーないか!」で済ませられなくなっているように思われる。

  特に、昨今のネットや投資ブーム社会がもたらす害悪は、詐取される人々に、膨大な被害額を生じさせている。

  

 これら「3得」は、人の利己心の発露であることが多く、およそ公共性・公益性とはかけ離れたものになっている。

 以下、これらがどのようなものかを、事例を上げ、そして、それらの相関関係を検討する。

 

遣り得

 

    遣り得とは、「人の迷惑になることや、法に触れることを、自分の楽しみや儲けを優先して厚かましく実行すること」(デジタル大辞泉)をいう。

 

 この事例は、通常、振り込め・オレオレ詐欺等の特殊詐欺犯罪、ネット詐欺犯罪やロイヤルフーズ事件等の投資詐欺の時に、被害者の被害回復が著しく困難な場合に用いられる。

 というのも、犯罪集団は、「犯罪収益を他人名義での不動産に充てたり、匿名性の高い海外口座に移したり」等して、騙取金を発見されないようにしているからである。

 まさに、犯罪「遣り得」なのである。

だまし取られたお金、どこへゆく?現状制度に壁 犯罪“やり得”の指摘も(1/5ページ) - 産経ニュース

 

 他面、法に触れないまでも、社会生活上、人に迷惑を掛けてでも、自己の利益のみを追求・奔走する人もいるようか?

 昨今の「かぼちゃの馬車」や「レオパレス21」問題は、バレなければ「遣り得」にもなっていただろう!

 もしかして、それらの問題は、氷山の一角かも知れない?

 

逃げ得(profiting by escaping)

 

 例えば、通行人を跳ねた車が逃走して、警察による犯罪の摘発・検挙を逃れることによって、結局は、運転者が刑罰等を免れることをいう。
 ひき逃げ・当て逃げに限らず、すべての犯罪に言えるが、交通事故事犯において、よく使われる言葉である。 

 

 ところで、無銭飲食は、通常、詐欺罪(刑法246条)が成立するも、当初は支払う意思はあったが、不味かったため支払う気をなくし、飲食後、店主又は店員に対し、支払いすることなく、そっと逃げたら、犯罪が成立しないという可笑しな「逃げ得」もある。

 

 逃げ得は、犯罪にならないまでも、世に言う怪しからんことをなし、そのまま知らぬ振りをして立ち去る場合にも当て嵌まろう!
 例えば、人家の玄関先に散歩犬の糞を放置して、そのまま立ち去るような行為である。
 

 なお、類似用語に、「逃げるが勝ち」とか「三十六計逃げるに如かず」という諺もあるが、これらは、いずれも人生にとってプラス面(大局的見地からの必勝法)を強調したものである。

逃げ得は許さない! 名古屋ひき逃げ事件で4年目に異例の起訴 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

逃げ得を許さない!証明が難しいデートレイプドラッグ犯罪…『毛髪鑑定』で”時期の特定”を - 幸せの深呼吸

 

ゴネ得

 

 ゴネ得とは、「ごねただけ得をすること。不平を言ったり文句をつけたりした分だけ、有利に事が運び、自分の利益や補償を得ること。ごてどく」(デジタル大辞泉)をいう。

 

 事例としては、まず、次のブログ記事のような悪質クレーマーが上げられる。これらは、恐喝や強要罪の刑法犯罪に該当しそうなものもある。

不相応な額の金銭要求をしてくる「ごね得タイプ」には逃げずに飛び込む | プレジデントオンライン

悪質なクレームに対応するときの基本話術「ギブアップトーク」とは? | 現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書 | ダイヤモンド・オンライン

 

 しかし、中には、正当な要求の場合もあり得、店側の不注意で生じた顧客の通常損害について、店側が敢えて、十把一絡げに悪質クレーマー(カスタマー・ハラスメント)扱いにして、責任を逃れるケースもあろうか?

 

 次の事例は、職場でも偶に見かける光景であろう。ゴネ得か否かは即断できない面もある。会社側としては許容しても差し支えない範囲の権利主張だったのかも知れない。人それぞれの受け止め方もある。

 現在では、そこまですら許されない不寛容社会になっているものと思われるが・・・。

泣いたりゴネたりした人が勝ち : キャリア・職場 : 発言小町 : 読売新聞

 

「3得」の相関関係は

 

 以上、「遣り得」と「逃げ得」は、犯罪に関わる事例から生まれたものなのか?警察がよく使っている用語である。また、「ゴネ得」は、店主等の経営者が使用しているよう?

 そして、これらは、社会生活上、広く、怪しからん事をなした場合に使われている。

 

   それらの多くは、利他心(他人の利益を重んじ、他人が利益を得られるように振舞おうとする心/weblio)でなく、利己心から生まれるものである。

 特に、「遣り得」や「逃げ得」は、「罪の文化」でなく、「恥の文化」に由来(米国の文化人類学者・ルース・ベネディクト著「菊と刀」)するものかも知れない。

 

 なぜなら、日本人には、前者の自己の内省的な罪の意識より、後者の外的規制規範意識の負の面から、その反動として「周囲に分からなければ何をしても別に構わない」ということが根源にあるのかも知れないから。

  それは、日本の伝統的な「村社会」規律から導き出されたものであろうか?

 

 そのことは、次のブログ記事に、分かり易く説明しているよう!

どちらが美徳? 日本人に根づく「恥の文化」と諸外国の「罪の文化」|U-NOTE [ユーノート]

 しかし、上記ベネディクトの指摘は、多くは当っているが、必ずしもすべてがそうとは限らず、しかも、日本人のみでないと思うが・・・?

 欧米人、中国人、韓国人等でも同じようなところもあると思う。

 

 そして、現代日本に至っても、「ムラ社会」(組織村)として、伝統的な「村社会」規律の残滓が未だ見られるよう。しかし、昔と比べ、大いに、様変わりしている面もあろう。

 

 「得」という用語は、通常、プラス面の意味合いも多いが、これらの「得」はマイナス・イメージが付き纏う。

 まあ、警察が使用する用語から、ほのぼのとする言葉を見つけること自体、どだい無理な話でもあろうが・・・!

 

 「ゴネ得」は、「遣り得」や「逃げ得」との関係で、「恥の文化」や「罪の文化」からは、見い出せないようか。「ゴネ得」そのものが、濫用気味の権利主張と言う捉え方をすれば、欧米人から言わせれば、正当な権利主張と捉える一面もあろうから。

 例えば、高速道路建設に反対する住民の一部は、自己の所有地に敷設されるのを奇貨に、土地立ち退き等補償料を吊り上げる故に反対しているのだろう!という批判である。

 

 いずれにしても、上記「3得」に共通して問題にされるのは、利己心に帰着しよう。

 そもそも、利他心が旺盛であれば、犯罪等は起こらないであろうし、また、濫用とも言えそうな権利主張もしないだろう・・・。

 

まとめ

 

 ❶遣り得、❷逃げ得、❸ゴネ得の「3得」は、一般的に分かっているようで、分かっていない言葉として、日常使われる場合がある。

 特に、❸の用語の定義は、ヤフーやgoo辞書、そしてHatena Keywordにも出ていない。丁度、新垣結衣主演のテレビ・ドラマ「逃げ恥」(逃げるは恥だが役に立つの略称)のように?

 

 会社等の職場内で、これらの「3得」が用いられる場合がある。上記「泣いたりごねたりした人が勝ち」のブログ記事にあるように、要領の良い会社員等もいるようか?

 上記❶❷はあからさまでないので目立ちにくいが、❸は目立つ。

 この場合、如何に対処すれば良いのだろう?うまく立ち回わられたら対処のしようがないが・・・。

 しかしそうは言っても、そもそも、会社等自体が社員等をどれぐらい公平・公正に扱っているか疑問なところがある。

 

 公務員だって例外でないようである。次のブログ記事が少し参考になろうか?

裁判官の身分保障について(2) | 弁護士 森脇淳一

裁判官の身分保障について(3) | 弁護士 森脇淳一

初公開!裁判官の「出世とカネ」こうなっている(岩瀬 達哉) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)

 

 所謂、上司のお気に入りや覚えの目出度い部下には、大目に見る傾向もあろう?

 まあ!依怙贔屓っというものである。

 それは、正直者がバカを見るとか、実直者が損をするという類の弊害をもたらす。

 そういう組織は、抜本的な改変を図らなければならない。しかし、なぜかしぶとく、従前のままの状態で、残存している模様!

  

 それにしても、現代を生き抜く知恵としての、世渡り上手をどう評価すべきであろう?

 処世術を如何に身に着けるかのハウツー本も多く出版されているぐらいだから、世渡り上手が怪しからんと言うことにはならないだろう・・・。

 処世術の長けていない者が組織上層部にいた試しがないように?

 

 いくら優れた実務能力があっても、円滑な人間関係が構築できなければ(魑魅魍魎とする自浄能力のない組織内において、例え足を引っ張られるようなことがあったとしても)、組織の幹部に抜擢されないだろう?

 

 いわば、「実力+世渡り上手」能力を兼ね備えなければならないのかな?

 

 例えそうだとしても、上記「3得」をフルに利用する世渡り上手の輩に対しては、そこまでして出世したいのか?と、違和感を抱かざるを得ない。

 

 米国型利益至上主義蔓延の現代社会にあって、出世によって、多額の金を掴もうとする傾向が増々顕著になっているよう!その一つの方途とも言える世渡り上手の術は、今後共増々重視されこそすれ、軽視はされないだろう。

 

 まあ、それも人それぞれの人生!
 それはある意味、現代社会で生き抜く価値の一基準なのかも知れないが・・・!

 

(追記)

 3月6日、快晴。

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