諦観ブログ日記

ー Que Será, Será(ケセラセラ)ー

「特売チラシ」から解放されたいんだが・・・そこに不条理が(2)!(>_<)

 今朝は快晴。相変わらず霜が降りて寒い。

 今回は、前回の「日本経済が好景気な筈なのに、なぜ、多くの人々には、その生活実感がないのか?」の疑問について、考えて見たいと思う。(-_-)

 

 その疑問に応える上で、重要となる問題事項は、次のことであろうと考える。

 なお、「景気」とは、「売買や取引などに現れる経済活動の状況。特に経済活動が活気を帯びていること」(デジタル大辞泉)。

 

 ❶ 本当に好景気なのか?

 ❷ ゆとりの持てる生活実感とは!

 ❸ ❶と❷の連関性と、その整合に向け!

 

1 日本経済は好景気なのか?

 

 多分、多くの人は、次のBlog記事にあるように「景気回復」≒「好景気」と受け取っているのでないかと思われる(注1)

 「景気回復」が戦後2番目の長さだと言われても… - みんなどこか変わってるから大丈夫

 

 経済の景気動向には、一般的に、国内総生産(GDP)」「経済成長率」が一定程度の関わりがあると言われている(注2)。 

  すると、以下のグラフを見ると、景気は悪くなさそうだ!

日本のGDPの推移 - 世界経済のネタ帳

日本の一人当たりのGDPの推移 - 世界経済のネタ帳

18年度の実質成長率は1.2%、19年度は0.9%成長 NEEDS予測 :日本経済新聞

 

 しかし、景気動向には、所得の増加やインフレ率も関わっているとのこと。

 また、好景気というには、実質成長率の点で、1.2%では足らず、少なくとも3%は必要だとする見解もある。

  ちなみに、日本の高度成長期は9.1%、バブル期で6%台であった。

 

 すると、景気は悪くはないが、好景気という程でもないということになりそうか?

 現に、日銀も、景気は緩やかに回復傾向にあると繰り返すばかりで、回復し好調とは言っていない!

 これらは、景気拡大が長期になっているとの、新聞報道からも、推察せざるを得ない。しかも、成長の大きさではないとの、何か奥歯に物が挟まったような、素人目からは一見よく分からない記事である。

 

 このことは又、家計の実質消費支出が伸びていないことも、一要因として挙げられよう !(注3)

 

 つまるところ、現在、呼称されている、所謂アベノミクス景気」は、従来のいざなぎ景気(1965年11月〜1970年7月)や、「いざなみ景気」(2002年2月〜2007年10月)とは、その景気の様相や内実が大いに異なっているということである。

景気拡大長さ「いざなぎ」超え 実感ある?成長率1%台:朝日新聞デジタル

  

 上記のことは、次の記事からもうかがい知れる。

 大儲けしているのは、特に、中国や米国等の海外で活躍した企業、そして小売業。しかし、家計の消費は総じてマイナスで、街角景気は実感として良くないとの話。

"戦後最長景気"でトクをしたのは誰なのか(プレジデントオンライン) - goo ニュース

 

 いずれにしても、経済は複雑で、よく分からない点が多々あるとはいえ、一応結論として、本当は好景気という程のものでもない、ということになろうか。(?_?)

 

2 国民の多くは、ゆとりの持てる生活を実感しているか?

 

 一般的に、ゆとりある生活を送るには収入増が重要である。

 日本では景気が拡大しているにも関わらず、実質賃金が下がっているのが現状だということに、誰も異論を挟まないようだ!

 

 企業側経済専門家の中には、その要因を正規労働者の解雇規制が厳しいからだと説明している。果たしてそれだけだろうか? 

 また、投資筋の専門家は、昨今、ゆとりの持てる生活を送るのに、「投資信託や株購入」が非常に有益だと述べ、しきりに小市民を勧誘している。さらに政府もこれを後押ししている。ただし、リスクへの言及は抽象的で分かりにくい。実際儲けている人は、五十何%を超えるぐらいだと思われるが・・・?

 

 多くの国民にとって、ゆとりの持てる生活ができない理由には、他に、多種雑多な税等公租公課の負担もあろう。

 

 最大のものは消費税。その他、介護・健康・国民年金等の社会保険税や所得・住民税の過重負担である。

 さらに、挙げれば、ガソリンへの二重課税、再生可能エネルギー発電促進賦課金(平成29年度は2.64円/Kwh)、復興特別税(所得税額の2.1%)、NHK受信料や高額な携帯電話通信料金等がある。

 

  フランスでは、マクロン政権が燃料税の引上げ実施予告をしたのを切っ掛けに、生活にゆとりのない市民が大規模デモ、即ち「黄色いベスト運動」による暴動を引き起こしている。

 そして、燃料税引き上げ撤回後の現在に至っても、収束が見られないままである。

 

 これからすると、賃金の増減の有無云々のみならず、税等負担の加重による生活困難さも大きな影響を与えていることが分かろう。

わかりやすい「フランスの黄色いベスト運動」とは(1)普通のデモの広がりからシャンゼリゼの暴動まで(今井佐緒里) - 個人 - Yahoo!ニュース

わかりやすい「フランスの黄色いベスト運動」とは(2)マクロン大統領は本当にお金持ち優遇か(今井佐緒里) - 個人 - Yahoo!ニュース

フランス 毎週土曜日の抗議デモが10週目に | NHKニュース

 

 つまるところ、収入と、既定又は必要支出を差し引くと、ほとんど残らないことが問題なのである。赤字にもなり兼ねない。

 可処分所得が低いということは、それなりの文化生活を営む上で必要なゆとりがないということである(注4)

 そうすると、多くの国民が景気回復の実感がないということが見えてこようか!

TBS「世論調査」

 

3 好景気なのに生活実感がないということの連関性と、その整合に向け!

 

    前述のとおり、好景気でないにしても、景気は悪くないということからして、「それなり」の景気による生活実感はあって然るべきと思われる。

 好景気であれば、なおさら。ただ、株高で、かつ大企業の企業業績が良いことから、彼ら富裕層にとって、現景気による豊潤な生活実感があることは間違いないだろう。

 

 「それなりに」とは、先進諸国民が享受し得る当該文化水準を維持し、普通の生活が恒常的に営なまれることを意味する。

 

 ところが、現実は過酷とも言えそうな非正規労働の実態が多々報道されている。

 特に、高学歴出身の大学非常勤講師の実情について、次のような悲惨な事例も見られた。

WEB特集 九州大学 ある“研究者”の死を追って | NHKニュース

 

 今や、「悪くない景気」の恩恵を享受できない労働環境が醸成されているのだ!

 バブル期以前の日本では考えられない事象だ!能力も実力もあり、たまたま就職氷河期世代ということで、景気が回復しても不遇のままの状況を続けなければならないという時代。生き方が下手だからで済ませられる問題だけだろうか?

 

 それにしても、景気は、非正規労働であれ、「あるだけましの効果しかない」というような論調の、ある評論記事を見ると、相対的貧困でも、絶対的貧困にならないだけましというような風に穿って捉えざるを得ない。

 とても、良識ある文化人としての考え方のようには思えない。

 

 この考え方によれば、好景気と生活実感との連関性はあまりなく、景気が悪化すれば必要最低限度の生活すら危うくなるだけのものとなろう。

 好景気は、小市民の生活実感に余り影響しないことを言いたいのだろうか?そして、景気とはそんなもんだと言うのだろうか?

 

 また、ある評論記事には、マスコミが、「景気による生活実感への街の人の反応を取上げる」(街角景気?)こと自体に、違和感があるような論評をしているのもあった。

 市井の状況を世間に伝えるのがマスコミの仕事であり、また使命であるのに、それに異を唱えるかのような御仁こそ、問題のように思える。

 

 景気は一部の層のみが多大な恩恵を受けるのでなく、程度の差はあれ、多くの国民にあまねく行きわたらせるのが、国の指導者のとるべき使命なはず。

 なのに、現状は、必ずしも、国民があまねく、景気の恩恵を享受しているようになっていないように思われる。

 残念至極!(>_<)

 

 では、どうすればそれらの整合が取れるのだろうか?

 

 それらの整合への縫合策は、次の点にあるように思われる。

 ❶雇用不安定で、低賃金で働く非正規労働者の待遇改善と正規労働者化への促進

 ❷極端な成果主義導入への排除

 ❸組織率17%とも言われる弱体化した労働組合の体質改善(個々の組合員に寄り添った組合運営、労働貴族概念の払拭)

 ❹「金持ち病」に罹患していると見られる富裕層(森卓獨協大教授「格差社会」言説から)への、心的治療(注5)

 そして肝心なのは、

 ❺労働分配率の配分による実質賃金の値上げ

 ❻実質的公平の観点による税負担の抜本的見直し   

景気拡大なのに実質賃金が下がるアベノミクスの本質 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン

「賃金抑制はいいことだ」と考えた企業経営者たちの失敗 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン

景気回復しても賃金が上がらない理由 | 相続税理士相談Cafe

 

 次回は、過去何年にも渡り、幾度となく景気が回復傾向にあると言われ続けながらも、多くの人がその実感を持てなかった要因について、考えて見たい。(-_-)

 まさに「そこに、不条理がある」のではないか、ということである。

 どうもその辺りに、「特売チラシ」から解放されたくても、解放されない大きな理由がありそう!(>_<)

 

(注1)

 好景気と言われる所以の一つに、次のような良好な雇用情勢や企業の設備投資からの視点もあろう。

 ❶大学生の就職状況から見ると、就職率はこの数年70%を有に超え、最新の就職内定率も87.9%と過去最高で、確かに雇用情勢は良い。

大学生の就職状況をグラフ化してみる(最新) - ガベージニュース

大学生の就職内定率 87.9% 調査開始以来最高に(NHKニュース&スポーツ) - goo ニュース

 ❷また、有効求人倍率も大変良い。

有効求人倍率1.64倍 9月、正社員は過去最高 :日本経済新聞

    ❸さらに、設備投資も良好である。

7-9月期設備投資は8期連続プラス-生産能力増強投資など寄与 - Bloomberg

(注2)

 ❶「国内総生産」(Gross Domestic Product)とは、「国内で一定期間に生産された財・サービスが生み出す付加価値の合計」をいう(朝日新聞掲載「キーワード」)。

 ❷「経済成長率」とは、「経済規模が拡大する割合」をいう(三省堂大辞林)。

(注3)

 2018年11月総務省・家計調査発表では、「1世帯当たりの実質消費支出」が、前年同月比0.6%減少、かつ3か月連続マイナス、になっている。

 なお、黒田日銀総裁は、2%物価上昇の実現に拘るのと同様、家計の実質消費のプラス化(ゼロ金利政策による不動産業界等の活況)を非常に気にしているよう?

1世帯当たりの実質消費支出(時事通信) - Yahoo!ニュース

(注4)

 「可処分所得」とは、「所得のうち、税金や保険料などを除き、個人が自由に処分できる部分。消費と貯蓄に振り分けられる」をいう(三省堂大辞林)。つまり、「手取り収入」

(注5)

   「大竹まこと ゴールデンラジオ」より(知識の泉)

www.youtube.com

 

(次回に続く)